古川 欣也

副センター長
呼吸器外科 教授
古川 欣也

“肺がん”について知ろう2
肺癌の診断法

前回、肺癌は予後の悪いがんであることを述べました。予後の改善には、早期診断・早期治療が重要になります。肺がんには、大きな気管支にできるがん(主に扁平上皮がん)と末梢にできるがん(主に腺がん)があることをお話しました。今回は、肺門部の大きな気管支にできる“早期肺扁平上皮がんの内視鏡的診断法”についてお話しします。

早期肺扁平上皮がんの内視鏡的診断法

肺門の大きな気管支にできる早期がんは、気管支内腔での病巣の広がりと気管支壁への浸潤度を正確に診断することにより、外科的切除せずに気管支鏡的に治療することが可能です。

病巣の広がりに対して、蛍光内視鏡という特殊な気管支鏡が最近使われています。この蛍光診断法には、1)正常な組織から出る蛍光を観察する自家蛍光診断法(AFD)と、2)腫瘍に集積する薬剤を投与してその薬剤から出る蛍光を観察する光線力学的診断法(PDD)があります。

一方、がんが気管支の壁にどのくらい深く達しているのかもまた問題になってきますので、それを判断するには超音波気管支鏡(EBUS )が最近使用されています。近未来的な気管支鏡としまして光干渉断層法(OCT)気管支鏡が現在開発中です。OCTは眼科で既に網膜の検査法として行われていますが、これを内視鏡に導入して気管支壁のどのくらい奥まで浸潤しているか詳細に判断できるように将来的はなると思われます。

蛍光気管支鏡

自家蛍光診断法(AFD)の原理ですが、正常気管支粘膜は、青い光を当てると緑の自家蛍光を発生します。がんができてくると自家蛍光が減弱して暗くなってきます(図1)。腫瘍に選択的に集積するある種の薬剤(腫瘍選択性光感受性物質)を投与して蛍光気管支鏡でみると自家蛍光が減弱し暗くなる腫瘍の部分が薬剤から発生される赤い蛍光が観察できます。これが光線力学的診断法(PDD)です(図2)。薬剤を使った場合、早期がんにも綺麗に薬剤が腫瘍に集積しますし、進行がんもこのように綺麗に赤く蛍光を発して、がんの浸潤範囲が同定できます(図3)。私たちの研究によりますと、蛍光気管支鏡を普通の気管支鏡に追加すると、喀痰細胞診で前がん病変であると判断された患者さんの18%に病巣の局在診断率がアップしました。14%の方にがんが発見されました。このように、最近では見えないがんが分かるようになってきているということになります。

図1
図2
図3
超音波気管支内視鏡と光干渉断層法気管支鏡

気管支の壁深くまで浸潤しているがんは気管支鏡的治療では治りません。がんが気管支の軟骨を超えないものが気管支鏡的な治療対象になります。それを診断するには最近は超音波気管支鏡(EBUS)が使用されます。超音波エコーで気管支壁を見ると壁は5層に見えます(図4)。3.4.5の部分が軟骨です。そこに浸潤があるかどうかを見ます。軟骨までいかないものであれば内視鏡的な治療で治る可能性があります。超音波気管支内視鏡は音を利用していますが、近未来のOCT(光干渉断層法)は、光を使っております。原理はエコーと同じです。OCTでは、気管支の上皮層が詳細に観察できます。将来、早期肺癌の深達度診断法として期待できます。

以上、肺門部早期肺癌の診断法についてお話しましたが、内視鏡診断のきっかけとなるのは、喀痰細胞診です。肺がん検診時の喀痰細胞診検査をお勧めします。特に、喫煙者で痰の多い方は是非検査の追加をお願いします。

図4
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