藤田 知之

乳腺科 講師
藤田 知之

進行・再発乳癌に対するがんペプチドワクチン療法の臨床研究
がんペプチドワクチン療法とは

体が本来持っている免疫力を利用して、がん細胞を攻撃する“がんペプチドワクチン療法”が、手術、抗がん剤、放射線療法に次ぐ治療法として注目されています。当科でも2010年より標準的治療が効かなくなった乳癌の患者さんに対し、がんペプチドワクチン療法による臨床研究を行っています。

近年、がんを攻撃するリンパ球があることがわかり、ある特定のHLA(白血球の型のことで、血液型みたいなもの)とがんに多く発現している小さいペプチド(タンパク質の小さいもの)を認識して、このリンパ球が増殖することが分かってきました。そこで、このペプチドを患者さんに投与することで、がんを攻撃・破壊するリンパ球を育て、がんの治療につなげようとする試みです。乳癌に対するワクチン療法の基礎的な研究では、すでに有望である可能性が示されておりますが、今回の臨床研究は人への投与が安全であり、乳がんに対し有効であることを確認するためのものです。

図1

がんワクチンのしくみ

1週間に1回、わきの下や足の付け根などに、ペプチドワクチンを注射します(図2)。ワクチン投与開始後4週目の時点で、安全性の確認を行い、患者さんに不利益が生じなければ、繰り返し投与します。また、臨床効果を判定するためのCTスキャンなど画像診断を1−2ヶ月ごとに検査します(図3)。

図2

投与方法
図3

投与スケジュール

これまで共同研究施設を含め9名の患者さんに投与されました。何人かの方には投与した部位の発赤やかゆみ、硬結などがみられましたが、いずれも全身への重い副作用はなく安全性が確認されました。また、腫瘍の増大がない約半数の患者さんが現在も継続投与されており、その効果について今後解析されていきます。この臨床研究に伴うペプチドや特殊な検査に関連する費用は、患者さんが負担する必要はありません。ご不明な点は平日午後に乳腺科外来にお問い合わせ下さい。

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