古川 欣也

副センター長
呼吸器外科 教授
古川 欣也

肺末梢にできる“早期肺腺がんの画像診断”と“縦隔リンパ節診断”
多列検出器 コンピュータ断層装置(MDCT)

肺末梢にできる肺がんは、多列検出器コンピュータ断層装置(MDCT)の開発により数多く発見されるようになりました。MDCTが従来のCTとどこが違うかというと、短時間に広い範囲が撮影できるということ、高分解能であるということです。図1に示すような淡い微小な擦りガラス状の影(GGOといいます)が見つかります。この画像は、超早期の腺がんの可能性の高い画像です。この様な画像(GGO)を呈する腫瘍はゆっくり育つ場合が多く、すぐには手術をしないで経過を見ることが多いです。また、MDCTは好きな方向で人体の画像を構築することができます。また、3次元画像も構築することも出来ます。咽頭反射が強く気管支鏡検査が受けられないような方に対しては、バーチャルな内視鏡画像(仮想気管支鏡画像)を撮る事ができ、非常に有用です。

図1 多列検出器コンピュータ断層撮影(MDCT)
陽電子放射断層撮影 (PET)

PET (Positron Emission Tomography)検査は、陽電子放出物質をブドウ糖に結合させた物質(フルオロデオキシグルコース:FDG)を投与して、そのブドウ糖の代謝を見ます。がん細胞が正常細胞に比べて3〜8倍のブドウ糖を取り込む性質があります。FDGを注射し、しばらくしてから全身をPETで撮影するとブドウ糖(FDG)が多く集まる部位がわかり、がんを発見する手がかりとなります。脳はブドウ糖の代謝が盛んで取り込みが多いため脳転移などの診断はできません。図2に示すような転移のあるリンパ節には強く取り込みを認め、リンパ節転移があると判定できます。PETは、肺腫瘍の良悪性の判定やリンパ節の転移による病期診断、再発の診断などに有用だとされています。感度は97%ほどありますが、偽陰性といって悪性でも取り込まない場合があります。肺がんの中で、カルチノイド腫瘍や肺胞上皮癌、また腫瘍の大きさが1cm以下の小型腫瘍は取り込みのない場合が多いです。逆に、悪性でないのに取り込みを認める偽陽性の場合もあります。結核やサルコイドーシスなどの肉芽腫などでは取り込みを認めます。炎症もブドウ糖の代謝が盛んなので取り込みを認めます。ですから、PETで取り込みがあったからといって必ずしもがんであるとは限りません。あくまでも補助診断であります。当院では、PET検査は院外の施設に依頼して予約をお取りしています。

図2 PET-CT
超音波気管支鏡下リンパ節生検 (EBUS-TBNA)

PETやMDCTは画像診断ですが、そこに本当にがんがあるかどうかの判定には細胞組織診断が必要です。例えば、1cm以上の縦隔リンパ節であっても実は炎症で腫れていてがんの転移じゃない場合もあります。それを確実に証明するためには、図3に示すような超音波気管支鏡で気管支壁外の縦隔リンパ節をエコーガイド下で確認して針を刺し細胞や組織を採取する方法(endobronchial ultrasound guided transbronchial needle aspiration: EBUS-TBNA) が行われています。EBUS-TBNAで診断がつかない場合には、全身麻酔下の縦隔鏡検査が行われます。

図2 超音波気管支鏡によるリンパ節生検(EBUS-TBNA)
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